2018/01/10 23:04

植物の仕事に携わっている身として、盆栽ってまだまだよく知られていないんだなという気がします。

 

現在では海外での流行から盆栽=ARTという認識が強くなっているかもしれませんが、盆栽と一般的な園芸の違いについてよく質問を受けます。

 

よくわからないけど盆栽は何か特別なんだろうと感じている方は多いと思いますので、

まず盆栽と園芸(鉢植え)との違いについて書いてみます。

 

一般的に園芸とは植物をそのまま育てて楽しむものです。

花を咲かせたり、実をならせたり、それを収穫して楽しんだり、あくまで自然のまま観賞するものと考えてよいと思います。

 

それに対して、

盆栽は花を咲かせ、実を成らせると同時に樹形をつくること、そして最終的に鑑賞することを目的としています。

 

その為に盆栽は人が手を掛けなくては絶対に作り上げられない植物の芸術なんだろうと私は感じています。

 

事実、すべての枝の芽の数にまで気を配り、土や根の状態、水や肥料の量や時期、置く環境など、ありとあらゆるところまで人の意識が注がれている事が必要不可欠です。

どれだけ盆栽を観察するかが一番重要かもしれません。

 

樹形をつくる為には針金掛けなどをして整姿していく必要があるのですが、まず大前提に樹が健康である事(これは盆栽でも園芸でも同じです)が前提となりますので、植物をよく見てしっかりと育てることが何よりも大切です。

 

どんな植物でも、どんな樹形でも、愛情を込めて日々手をかけ続けて行けば、植物は応えてくれるものです。また鑑賞者の視点から見ても人の意識の有無ははっきりと判るはずです。

 

すべてを完璧にやろうとすると疲れてしまいますので、ただただ育てるだけの草花も楽しみながら、盆栽や園芸を長く続けて頂けると嬉しいです。